※2020年12月3日、文京区議会に陳情書を提出いたしました。
陳情書
2020年12月3日
文京区議会議長 海老澤敬子様
件名 消費税総額表示義務の特例期間延長・外税表示の恒久化の検討を求める陳情
陳情法人名 一般社団法人 日本出版者協議会
代表者氏名 会長 水野 久
東京都文京区本郷3-31-1盛和ビル40B
電話 03-6279-7103
水野 久 東京都文京区*********
理由
私共は、中小出版社73社からなる出版団体で、文京区内には22社の会員出版社があります。
書籍については、1989年の消費税導入時に、公正取引委員会より総額表示の強い指導がなされ、カバーの刷り替え、総額表示シール貼りなどに各出版社は大変な負担を強いられました。こうした負担に耐えられないとして、当時、ロングテールの専門書等を含む約2万タイトルの書籍が絶版となりました。この時の体験から、1997年税率が5%に改定されたのを機に、ほとんどの出版社が外税表示を採用し、書店店頭での税額を巡る混乱等もなく、今日に至っています。
2013年施行の消費税転嫁対策特別措置法により、特例として外税表示が許容され、このかん8%、10%への税率改定に、出版社、取次店、書店、読者(消費者)ともに混乱なく対応することができました。書籍において、外税表示が合理的であることを示しています。しかし同特別措置法の適用期限は2021年3月31日までとなっており、総額表示の義務化が復活しようとしています。
私たちは、以下の理由から、外税表示の恒久化を求めます。
(1) 現状において、出版物については「外税表示」が混乱なく広く受け入れられており、「総額表示」でなければ困るといった読者・消費者からの苦情は書店からは報告されておりません。
(2) 再販商品である出版物については、消費税率改定のたびに、定価表示義務者である出版社に新たな諸費用・負担がかかり、しかも書籍が長期にわたって販売される特性を持つ商品であることから、「総額表示」を徹底すればするほど、税率改定の際には表示の切り替えに多大な負担が繰り返されることになります。
(3) 出版物の市場は1997年をピークに減少を続けており、出版社は2004年の「総額表示義務化」施行当時に比しても厳しい経営環境のなかにあり、総額表示に対応しきれない出版社が多く出ることは必至です。
(4) 「総額表示制度」の復活は、その運用によって消費税導入時にも生じたロングテールの在庫書籍の絶版化などを再び招きかねず、このことが読者・消費者にとっての最大の文化的不利益となります。また、総額表示のための費用負担は、出版物の定価に反映させざるを得ず、消費者にとっても不利益となります。
(5) とりわけ、現在のコロナ禍の下で、出版社も書店も打撃を受けています。総額表記の義務化は、コロナ禍への対応に追われている各現場にさらに手間や負担を強いることになります。
「文の京」として出版社はじめ出版に関連する事業者が多い文京区議会におかれましては、出版文化を守るために、消費税転嫁対策特別措置法による消費税総額表示義務の特例期間延長、および、外税表示の恒久化の検討を国に求めていただきますよう陳情いたします。
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